業界インサイト|ISCC PLUS マスバランス新ガイダンスが始動:廃タイヤ熱分解に求められる準備とは
ISCCは2026年9月22日、「ISCC PLUSマスバランス・ガイダンス1.1版」を正式に公表しました。熱分解コンサルティング会社のWeiboldは、このガイダンスが廃タイヤ(ELT)熱分解に与える影響を分析しています。以下に要点と環拓科技の見解をまとめます。
主な変更点
- 化学的連結性の重視:サステナビリティ特性を受け取る産出物は、認証された投入原料との化学的なつながりを証明する必要があります。
- 2027年からの配分ルール厳格化:2027年1月1日以降、フリーアトリビューション(Free Attribution)を用いる場合は投入原料の特性を反映することが必須となります。相互に補償できる原料は性質が類似している必要があり、認証原料と非認証原料の経済価値の差は5倍以内とされました(意見募集案では10倍)。
- サイト単位・実データでの管理:マスバランスはサイト単位で管理し、認証クレジットは実際の産出量を超えてはならず、損失を含めて実際の操業データで計算します。
- プロセスごとの分別記帳:プロセスが明確に区別され個別に記帳されていれば、同一サイト内で異なるマスバランス手法を用いることができます。例えば再生カーボンブラック(rCB)と熱分解油(TPO)を別々に扱えます。
- 燃料用途と材料用途の区別:「燃料用途除外アトリビューション」(Fuel-Use Excluded Attribution)が導入され、燃料・エネルギー用途の産出物と非燃料の材料用途を区別します。詳細は今後の版で示される予定です。
- ISCC EUとISCC PLUSは相互に代替できない:ISCC EUはEU再生可能エネルギー指令などの規制ルートに、ISCC PLUSは自主的な循環・バイオ系サプライチェーンに対応します。同じ数量を二重に計上することはできません。
環拓科技の見解
1. 認証は書類作業ではなく、プラント設計の一部に。損失を含め実際の操業データで計算する以上、安定して計測できるプロセスが前提となります。当社の連続式熱分解システムは24時間・稼働率90%以上で運転し、粗カーボンブラックと熱分解油の収率も安定しているため、投入・産出・損失を完全に記録できます。これが信頼できるマスバランスの土台です。
2. rCBとTPOの分別記帳は統合型プラントに有利。rCBは材料用途、TPOは燃料または化学原料に向かいます。プロセス単位の記帳と燃料・材料用途の区別により、製品の行き先に応じた認証ルートを設計でき、TPOの化学リサイクル原料としての価値もより明確になります。
3. 新設プラントは設計段階で認証アーキテクチャを。計量ポイントの配置、物質の追跡方法、データの保存方法は、建設後に追加するのではなく、基本設計(FEED)の段階で決めておくのが最善です。当社が設備のお客様にまずFEEDをお勧めする理由の一つでもあります。
4. 買い手は「認証の仕組み」そのものを見るように。タイヤメーカーや化学メーカーは再生原料を評価する際、品質に加えて、どのISCC制度が適用されるか、どのマスバランス手法か、化学的連結性を示せるかを確認するようになります。環拓科技はISCC PLUS認証を取得しており、子会社の揚泰綠能(Upcycle)も2026年3月にISCC PLUS認証を取得しました。いずれも原料受け入れから出荷までのトレーサビリティを確立しています。さらに環拓科技は現在ISCC EU認証の取得手続きを進めており、熱分解油(TPO)がEU規制下のルートにも対応できるようにします。今後もガイダンスの改訂を注視し、お客様が検証可能な循環原料を調達できるよう支援してまいります。
出典:Weibold — ISCC PLUS gets operational: what the new mass-balance guidance means for ELT pyrolysis(2026年9月29日)。本記事は当社による要約と見解であり、ガイダンスの内容はISCCの公式文書が優先します。