業界インサイト|米国2025年廃タイヤ報告:輸出が270%増、熱分解が初めて独立した市場に

米国タイヤ製造業者協会(USTMA)は「2025年米国廃タイヤ報告書」を公表しました。全米の廃タイヤの発生、回収、処理、最終用途を追跡したもので、2025年の発生量は約2.73億本、そのうち79%が最終用途市場に流れ、2023年と同水準でした。今回特に注目されるのは、輸出量の大幅な増加と、熱分解が初めて独立した市場として集計されたことです。
報告書のポイント
- 発生量:約2.73億本、約515万ショートトン(約468万メートルトン)。
- 利用率:79%が最終用途市場へ(2023年と同水準)。リサイクル素材の中でタイヤの利用率は鉛蓄電池に次ぐ2位で、紙、アルミ缶、ガラス、PETを上回ります。
- 在庫:残存は約4,210万本で、2023年比12%減。1990年のピーク(約10億本)からは96%減少しました。
主な用途
| 用途 | 2025年(千ショートトン) | 備考 |
|---|---|---|
| タイヤ由来燃料(TDF) | 1,317 | 引き続き最大の市場。うちセメントキルン821(約5%増) |
| ゴム粉 | 1,201 | すべての用途で減少 |
| 輸出 | 936 | 2023年比270%増 |
| タイヤ由来骨材(TDA) | 207 | 2023年比21.5%減 |
| 熱分解 | 56 | 初めて独立した項目として集計 |
報告書の単位は米ショートトン(1ショートトン≈0.907メートルトン)。
USTMAの方針:価値を国内に
USTMAは、海外の需要は廃タイヤ素材に確かな価値があることを示しているとしたうえで、その価値をより多く米国内にとどめ、国内のリサイクル事業者、雇用、インフラを支えたいとしています。USTMAのアン・フォリストール・ルーク会長は、市場はいまだ少数の大口産業ユーザーに依存しており、市場開拓を最優先すべきだと述べています。優先分野としては、州の廃タイヤ管理制度、ゴム改質アスファルトやTDAなどのインフラ用途、環境製品宣言(EPD)などの環境性能情報、研究、そして熱分解などの新市場が挙げられています。
当社の視点
1. 熱分解が「その他」から独立した市場に。5.6万ショートトンは全体の約1%にすぎませんが、独立して集計され重点分野にも挙げられたことは、米国業界が熱分解を正式な処理ルートと見なし始めたことを示しています。
2. 輸出の急増は、価値の流出を意味します。輸出は短期間で大きく増え、その多くが海外の燃料・熱分解市場に向かいました。価値を地元にとどめるには、長期にわたり安定稼働できる現地の処理設備が必要であり、それこそ熱分解業界が実証すべき点です。
3. 課題は安定稼働と製品の出口。当社の屏南工場は2013年から24時間商業運転を続けています。生産する再生カーボンブラックはタイヤメーカーに採用され、ISCC PLUS認証とEPD/LCAを取得し、カーボンフットプリントは従来品より48.95%低くなっています。これらはUSTMAが重視する新市場の開拓と環境性能情報に直接応えるものです。
4. 廃タイヤの価値を地元に。環拓科技は自社特許の連続式熱分解技術により、モジュール式またはカスタム設計の熱分解装置を提供し、各国の事業者が廃タイヤを現地で再生カーボンブラックと熱分解油に転換できるよう支援しています。
出典:USTMA 2025 End-of-Life Tire Report。本記事は公開された報告書に基づく当社の要約と見解であり、報告書は当社に言及していません。