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業界インサイト|国際学術誌が廃タイヤ熱分解の反応炉を総括:スクリュー式が産業化に向かう理由

環拓螺旋式熱裂解反應器設備照片

2025年8月、ポルトガルのアベイロ大学(University of Aveiro)とポルト大学(University of Porto)の研究チームが、国際学術誌『Journal of Environmental Chemical Engineering』に、廃タイヤ熱分解の反応炉設計・運転条件・産業応用を体系的に整理したレビュー論文を発表しました。関連特許も数十件取り上げています。論文によると、2019年に世界で発生した廃タイヤは約3,090万トンにのぼり、素材とエネルギーを同時に回収できる熱分解は、循環型経済における最も有望な処理方法の一つとされています。

反応炉は熱分解技術の中核です。論文による5種類の主要反応炉の比較を整理し、当社の実務経験をご紹介します。

5種類の反応炉

反応炉 特長 主な課題
固定床 構造が簡単で低コスト。実験室で最も一般的 伝熱が遅く、残渣がたまりやすく、スケールアップが難しい
流動層 伝熱・物質移動が速く、連続運転が可能 エネルギー消費と投資額が大きく、原料を約0.1~2 mmまで粉砕する必要がある
スクリュー式(オーガー) 回転するスクリューで原料を送り、回転数で滞留時間を制御。伝熱が良く、コンパクトでスケールアップしやすく、多様な原料に対応 大きい・不定形の原料は詰まりやすい。熱分解ガスの炉内滞留が長め
ロータリーキルン 連続運転が可能で、原料サイズの違いに強い 熱損失が大きく、温度分布が不均一
撹拌槽式 加熱が均一で温度勾配が小さい エネルギー消費と機械摩耗が大きく、スケールアップが難しい

論文の内容を要約して整理。

スクリュー式反応炉:論文の評価

スクリュー式反応炉は、回転するスクリューで原料を加熱された無酸素の炉内へ送り込み、回転数で炉内の滞留時間を制御します。論文は、伝熱効率が良く、連続運転が可能で、コンパクトかつスケールアップしやすいと評価し、流動層とともに固定床より産業化に適した設計と位置づけています。

一方で、大きい・不定形の原料は詰まりやすいこと、熱分解ガスの炉内滞留が長く二次反応で製品品質に影響しうることを課題に挙げています。論文が引用するパイロット規模の試験では100時間を超える連続運転で安定性と再現性が確認されましたが、著者は結論で、業界には商業規模プラントの長期運転データがまだ不足していると指摘しています。

環拓科技の実務経験

1. 当社の連続式システムはスクリュー式反応炉を採用。反応炉からカーボンブラック精製まで自社で設計し台湾で製造しており、台湾特許(I916255)、台湾実用新案、日本実用新案を取得しています。

2. 安定運転は前処理から。論文が指摘する詰まりのリスクに対し、当社はまずスチールワイヤーを除去し、粗破砕・細破砕で3 cm未満、鋼含有量1%未満のチップに整えてから投入します。原料サイズをそろえることが、スクリュー式反応炉を長期連続運転する基礎です。

3. 試験ではなく、10年以上の商業運転。当社の屏南工場は2013年に稼働した、世界初の24時間商業運転の廃タイヤ熱分解工場です。連続式システムの稼働率は90%を超え、年間2.4万トンの廃ゴムを処理しています。これこそ論文が業界に不足していると指摘する「商業規模での長期運転経験」です。

4. エネルギーを自給し、製品をサプライチェーンへ。工程で発生する可燃ガスを回収して加熱燃料とし、外部エネルギーを必要としません。粗カーボンブラックは再生カーボンブラック(rCB)に、熱分解油はTPOに精製し、ISCC PLUS認証を取得しています。論文も、rCBをタイヤ製造へ戻す鍵は安定した品質だと述べており、当社が粉砕・精製への投資を続ける理由もそこにあります。

まとめ

各反応炉の長所と課題は研究によって明らかになっていますが、産業化の本当のハードルは「スケールアップ」と「長期安定運転」です。当社は屏南工場での商業運転の経験をもとに、熱分解設備の販売と技術ライセンスを提供し、実証済みの技術を世界へ展開しています。詳しくは設備販売をご覧ください。

参考文献:Maganinho, C., Silva, C. M. C., Costa, S. M. R., Mendes, A., Rocha, J., Silva, C. M., & Portugal, I. (2025). Advances in the pyrolysis of end-of-life tires: A critical review of reactor systems, process conditions and industrial applications. Journal of Environmental Chemical Engineering, 13, 118667. DOI: 10.1016/j.jece.2025.118667(オープンアクセス)。本記事は論文の内容に基づく当社の要約と見解です。論文は当社に言及しておらず、当社と著者・学術誌との間に提携関係はありません。